BOOKWORM

日々夏休みのノリで読書感想文を書いています。

海外作家【マ行】

058|『南回帰線』ヘンリ・ミラー|世界を正しく映し出そうとすること

『南回帰線』ヘンリ・ミラー|新潮社(新潮文庫)|2024.10.26 読了 昔、地面に寝転びながら、星のない夜空を眺めて「明日、世界が滅んじまえばいいのに」と呟いた友だちがいた。ぼくもその横に寝転んでいて、「そうだ、こんなくだらない世界はなくなっちま…

057|『北回帰線』ヘンリ・ミラー|新潮社(新潮文庫)|安全な文学の中心

『北回帰線』ヘンリ・ミラー|新潮社(新潮文庫)|2024.10.17 読了 ロレンス・ダレルは、ぼくの中で至高の作家である。アレクサンドリア・カルテットを手にして以来、それは今でも変わることはない。創作の真似事をしているけれど、その境地はそこにあると…

029|『予告された殺人の記録』G・ガルシア・マルケス|明滅するたくさんの人生

2024.05.29 読了 昔、とある店で店長をやっていた頃、小学生が職場体験にやってきたことがある。普段はエリア1ゆるい店長と評判のぼくだったが、当時、息子が通っていた小学校ということもあり、なかなかに気合を入れて臨んだものだ。職場体験はなかなか好…

026|『心は孤独な狩人』カーソン・マッカラーズ|暗がりに差し込む光

2024.01.17 読了 少し前に読んだ本のことだけれど、思いがけない再会をしたので、少しそのことについて語ってみる。 本は繋がっている、というのがぼくの考えである。それは鎖のように繋がっていて、思いもかけないところで、思わぬ出会いに繋がったりもする…

017|『月と六ペンス』サマセット・モーム|いったいぼくらはどこから来てどこへ行くのか?

昔働いていた職場でいつもガールズバーの話しかしない先輩がいた。 彼は当時40代でぼくより16、7歳は年上だった。性格はとても優しくて、とても面倒見のいい人であったけれど、とても残念なことに口を開けばガールズバーの話しかしなかった。たまに違う話を…