BOOKWORM

日々夏休みのノリで読書感想文を書いています。

国内作家【か行】

069|『青い月曜日』開高健|宿酔いの中で見た世界(あらすじ・感想)

『青い月曜日』開高健|集英社(集英社文庫)|2024.12.19 読了 この前、開高さんのお墓参りに行ってきた。これは三十年来の念願であった。初めてぼくが開高さんの本を手に取った時、衝撃を受けたのを覚えている。ちょうど釣りに興味を持ち始めた頃で集英社…

053|『檸檬』梶井基次郎|新潮社(新潮文庫)|小説あるいは文学の完成系

『檸檬』梶井基次郎|新潮社(新潮文庫)|2024.09.25 読了 本との思い出を忘れないよう備忘録も兼ねて、このブログを書いてきたのだけれど、過去の記事を読み返しては「何か足りねえんだよなぁ」とずっと思っていた。そして、この前、ようやくある本を手に…

041|『ベトナム戦記』開高健|本当の戦争

2024.07.30 読了 昔からわけもなく戦争映画をよく観る。『西部戦線異常なし』に『プラトーン』『フルメタルジャケット』、最近のものだと『フューリー』や『アメリカン・スナイパー』、そして『ホースソルジャー』なんかも繰り返し観た。決して気持ちのいい…

033 |『雨鱒の川』川上健一|愛でもなく恋でもない

2024.06.24 読了 もしも、恋愛小説を片手に恍惚とした表情を浮かべる中年男がいたとしたら、残念ながらそいつはもう手遅れである。手の施しようはない。そして、そんなどうしようもない男が何を隠そう、このぼくである。電車の中やカフェなんかでそんなぼく…

014|『世界の中心で、愛をさけぶ』片山恭一|生の輝き

高校生の時、作家になりたいと思った。 昔から読書が好きで作家になりたいと思ったわけでもなく、急に天啓が降りてきて作家になりなさいというお告げがあったわけでもなく、本を読んでいるうちに「小説を書いてみたい」と思うようになったのだ。 そのきっか…

012|『オーパ!』開高健|永遠の幸わせ

<内容>世界最大の流域面積を誇るアマゾン河に潜む巨大魚・怪魚を求め、作家・開高健が挑んだ60日間、16,000キロにもおよぶ遥かな旅路の記録。 釣りを覚えたのは小学生の頃だ。 当時は第三次バス釣りブームの真っ只中で、芸能人たちもバス釣りをしていたし…

002|『花終る闇』開高健|懈怠と恍惚の中で(あらすじ・感想)

『花終る闇』開高健|2024.11.17 更新 一度、地元の町を離れたことがあった。今からもう10年ばかり前のことである。男とは遠くに旅に出るものだという美学のもと、ぼくは手荷物ひとつで町を出ていった。まあ、実際は当時の奥さんの実家があった町に移住した…