BOOKWORM

日々夏休みのノリで読書感想文を書いています。

海外【サ行】

050|『狭き門』アンドレ・ジッド|力を尽くした先で

2024.09.08 読了 忘れられない恋がある。それはつとめて忘れたくない恋でもある。なんだかいつになく素敵な書き出しであるが、これを書いているのは腹の出た中年男ということを忘れないでほしい。そうすると素敵な感じの書き出しが、とても気色の悪いものに…

028|『ハムレット』ウィリアム・シェイクスピア|完成された物語

2024.05.27 読了 人生の岐路というか、分水嶺とでもいうのか、そういう差し迫った状況に追い込まれたことはあまりない。まあ、根が楽観的な人間なので、そういう状況はあったのかもしれないけど、多分忘れてしまったんだと思う。 そんなだからかもしれない、…

025 |『パパ・ユーア クレイジー』ウィリアム・サローヤン|愛情に満ち溢れた世界

2024.05.20 読了 その昔、ぼくは父親だった。今となってはとても懐かしい。いい父親であったかどうかは別として、それでもぼくは彼の将来のことを必死に考え、何を彼にしてあげられるのか、必死に考えていた。しかし、とても残念なことにぼくたちはもう家族…

006|『ナイン・ストーリーズ』J・D・サリンジャー|小説の完成形

実家を出てからも、同じ町内に、アパートを借りて住んでいた。 2DKのアパートで駅からは遠かったものの、部屋も広く、近くに大きな公園もあって、結婚したばかりで子どもも小さかったから十分な環境であった。 それに学生結婚でまともに稼げるような身分でも…