BOOKWORM

本との出会いのこと、とか。

国内【な行】

003|『八本脚の蝶』二階堂奥歯 | ”限界”という世界の中で

25歳だった頃、ぼくはいったい何をしていただろうかとふと思い出してみる。当時、社会人になったばかりの頃で、しかも学生結婚で子どもも小さかったから、家族のために死に物狂いで働いていた。毎日がとにかく必死だった。日付が変わる頃に家に帰り、少し寝…

001|『千年の愉楽』中上健次|圧倒的質量を持った物語

中上健次の作品と出会ったのは、今からもう10年以上も前のことになる。その当時、信じられないことではあるけれど、ぼくはまだ20代前半で、東京駅の前にはまだ八重洲ブックセンターの本店があった(残念ながら本店は2023年3月に営業を終了してしまった)。…