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日々夏休みのノリで読書感想文を書いています。

【まとめ】2024年8月の読了本

2024年8月の読了本

人生でいちばん体調の悪い時期に差し掛かっています。そんな中で酒もタバコもやめないで、倒れる時は前のめりだ、なんて息巻いている中年男です。

 

ただやっぱりあの本も読みたいし、この本も読みたいなんていう思いがあって、とりあえず読みたい本を読むまでは倒れられないななんて思ったりもして、すぐに前言撤回をするヘタレ中年です。

 

そんなわけで、8月はなかなか集中して本を読めなかったけれど、蓋を開けてみればそこまで読書量も落ちていませんでした。というわけで、8月の読了本はこんな感じでした。

 

 

1.『新編 宮沢賢治詩集』宮沢賢治天沢退二郎編|新潮社(新潮文庫

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イーハトーブの断片とでもいうのか、物語の間隙を埋めるピースとでもいうのか、宮沢賢治の示した世界を欠片の言葉たちから垣間見ることができた気がします。これほどまでに悲しく透徹した言葉たちがあっただろうかと思わせてくれる唯一無二の詩集です。

 

 

2.『ファウストゲーテ|新潮社(新潮文庫

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これまで何度も読み返した本はありますが、その中でも特別なのが『ファウスト』です。全てを欲するが故の悲劇とその救済はあまりにも美しいと思うのです。「とまれ、お前はいかにも美しい」──この言葉に出会いたくてこれまで何度も読み返したと言っても過言ではありません。

 

 

3.『バリ山行』松永K三蔵|講談社

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今年の芥川賞受賞作で話題になった作品ですね。登山と人生を重ねる古典的な手法かと思いきや、登山(非現実)と日常(現実)の対比ではなく、並び立つものとしてそのあわいを描いているようなそんな作品でした。読みやすくとても面白い作品です。

 

 

4.『ロード・ジム』ジョゼフ・コンラッド河出書房新社河出文庫

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物語自体の意思がこれほどまでに走りすぎた作品というのもめずらしいと思いました。故に名作だというところでしょうが、物語が自走したわけではなくコンラッドの意思でもあり、だからこその名作といったところだと思います。

 

 

5.『十五少年漂流記ジュール・ヴェルヌ|新潮社(新潮文庫

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子どもの頃、タンスが本棚になっていて、図鑑なんかと一緒に置いてあったのがこの本でした。子どもの頃、夢中で読んだ本で、今読んでもワクワクさせてくれる、そんな冒険小説の原点ともいうべき作品です。

 

 

6.『八月の光ウィリアム・フォークナー|新潮社(新潮文庫

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「これまで読んできた中で最高の作品」というものにこれまでいくつか出会ってきたけれど、まさかこの歳になってそういう作品に出会えるとは思わなかった。『百年の孤独』が流行っているけれど、ガルシア=マルケスも影響を受けたのがフォークナーであり、マジックリアリズムの走りともいうべき作品だと思います。

 

 

まとめ

8月ということもあり、読んでおこうかななんて軽い気持ちで読み始めた『八月の光』がまさかここまで揺さぶられるなんて思ってもみませんでした。もちろん、他の作品たちもどれも素敵なものでしたが、今になっても未だこうやって「最高だ!」と呼ばれる作品に出会えるのが読書の醍醐味ですね。8月も素敵な読書体験でした。