BOOKWORM

日々夏休みのノリで読書感想文を書いています。

国内【ま行】

044|『バリ山行』松永K三蔵|現実と現実のあわい

2024.08.11(山の日) 読了 東北のとある港町に住んでいた頃の話だけれど、町の背後には大きな山があって、よく釣りに出かけたものだった。山上湖や野池を車で回っていくのだが、地形図を見ながら地図にない水場を見つけにいく時もあって、そういう時は車を…

042|『新編 宮沢賢治詩集』宮沢賢治/天沢退二郎編|修羅の道

2024.08.03 読了 本好きの間では、何やら1万円を持って書店で好きな本を買うというようなコンテンツが話題になっているようだけれど、この前、ふと毎月本に使っている金額を計算したら、普通に1万円を超えていた。愕然とした。これはちょっとマズい。 ぼく…

036|『螢川』宮本輝|人生という美しさ

2024.07.10 読了 10年くらい前の話だからもう昔といってもいいのかもしれない。東北にいた頃の話だ。当時住んでいたアパートのベランダで煙草を吸っていると、1匹のホタルが舞い込んできた。昔から人が死ぬとホタルになって帰ってくると聞かされていたから、…

016|『十八の夏』光原百合|花盛りの季節

ぼくが18歳というと、もう20年ほど前のことだ。 20年なんて過ぎてみればあっという間だったし、大したことがあったわけでもないけれど、考えてみればけっこうな時間である。あの頃生まれたばかりの新生児たちはみな成人しているわけだし、あの時成人したばか…

013|『ノルウェイの森』村上春樹|生と死の距離

21歳の時、当時付き合っていた恋人から子どもができたことを知らされた。 その時、ぼくはまだ大学生で、あまり真面目に通っていたわけでもないから留年も決まっていた。そんな折のことだったので、当然周囲からはあまり祝福はされなかった。子どもを堕ろせ、…

007|『ボクたちはみんな大人になれなかった』燃え殻 |たしかにぼくたちはそこにいたんだ

90年代というと、ぼくは大半を小学生で過ごし、そして中学生の半ばになってあの狂騒じみた2000年という年を迎えた。だから、あまりなじみのないというか、うっすらとした記憶の中にしかない時代ではある。 とは言え、年越し番組で小室ファミリーが『YO…